障 福 号 外
平成10年12月21日
(社)日本自閉症協会奈良県支部長 殿
奈良県障害福祉課長
要望書に対する回答について
平成10年8月24日付けの要望書に対する回答は、別紙のとおりです。
1 障害者基本法の附帯決議の完全実施をされたい。
療育手帳が取得できず、したがって障害者基礎年金や福祉サービスの対象にならな
いにもかかわらず、社会適応が極めて悪く就労が困難な自閉症児者への対策が皆無で
ある。精神薄弱者福祉法の対蒙を拡大するなどして、福祉の谷間にある自閉症児者を
救済してください。
(回 答)
法の施行にかかわっては、国が対応していくべきものであって、その対応が示され
ていない状況にあっては、これらに対応する施策は困難です。
(障害福祉課)
2 奈良県でも強度行動障害特別処遇事業を実施し、措置費における強度行動障害加算
の実施を実現し、対象者となる多くの自閉症児者を救ってください。
(回 答)
強度行動障害特別処遇事業は、平成10年度に制度改正され施設の運営に対する措置
費制度に移行したところであり、本県においても本制度の円滑な実施について措置権
者及び各施設に周知しているところであります。
(障害福祉課)
3 県内に自閉症児・者専門の「自閉症総合支援センター」・「自閉症児・者療育セン
ター」(仮称)などの関係施設をつくり、就学前、就学後、成人期にわたり一貫して
指導や援助・相談を受け入れられる体制をつくられたい。
(回 答)
障害をもつ人々の障害の軽減・除去のための対策のひとつとして、障害児(者)の
各種相談に応じるとともに、障害の早期発見、検査・治療・訓練等のための総合施設
として、奈良県心身障害者リハビリテーションセンターを昭和63年に設置し各関係
機関と連携し運営しているところであります。
(障害福祉課)
4 県内に「子ども専門病院」(仮称)を設置し、その中に自閉症専用の療育部門を設
置していただきたい。また、自閉症児・者に対し充実した診断・評価機能を持たせる
ため、自閉症に精通した医師(精神科医、小児科医)臨床心理士をこの病院に専属配
置していただきたい。
(回 答)
自閉症等子どものこころの問題については、現在、県立医科大学附属病院では精神
科の児童思春期外来で、県立奈良病院では小児科の子ども心療科で対応しております。
(医務課)
5 すべての教育機関に自閉症児・者が受け入れられるよう条件整備をされたい。
○自閉症児が在籍する学級への教員増と指導の質を高められたい。
○自閉症児教育の研究及びその指導法の普及に努められたい。そのために、自閉症
専門の療育を実施する専門機関を整備されたい。
○自閉症に対する教職員の研修を強化されたい。特に管理職に対する自閉症の理解の
ための研修と実践的指導研究に取り組まれたい。
(回 答)
公立学校の障害児学級に自閉症児が在籍する場合、市町付教育委員会より学級設置
について申請が出されるが、市町村の就学指導委員会の判断に基づく申請を尊重し、
学級認可するとともに、教員配置標準法により教員を配置しています。
これ以外の場合への教員配置については、制度上、困難であります。
県立障害児教育諸学校に在籍の場合は、これまでも障害の程度により重複学級の認
定を行い、配慮を行ってまいりました。
自閉症児は一人一人違うために、教育研究所では教育相談の中で、親や先生方に来
ていただき、子どもの実態を明らかにして、指導法を具体的にアドバイスをしていま
す。また、障害児教育専門の研修講座では、k−ABC心理検査で自閉症を取り上げ
たり、動作法、教材・教具の工夫等でも取り上げ、専門性の向上を因っています。
予算の関係で、全ての障害種別ごとの研修講座の開催は困難であるが、今後も機会
あるごとに自閉症児・者を取り上げてまいりたい。
(学校教育課)
6 自閉症者のための職域開発援助事業に取り組まれたい。
就業実態調査を実施し、及び自閉症者の適職の研究、職域の開拓などをされたい。
(回 答)
本県においては、障害者の雇用対策を重点施策の一つとして積極的に推進している。
自閉症者は「障害者の雇用の促進等に関する法律」で障害者の範囲に該当しており、
公共職業安定所においては、ケースワーク方式による職業相談、引率紹介等個々の障
害の特性に応じた相談援助を行っています。
また、奈良障害者職業センターにおける職域開発援助事業(今年度から導入)等の
職業リハビリテーションの対象とされていますが、当該事業等の希望者全員に実施さ
れるものではなく、職業相談、職業評価を受けて後に策定される職業リハビリテーシ
ョン計画において、当該事業の実施が必要であると判断された者となっていることに
留意願いたい。
また、適職調査については、日本障害者雇用促進協会の障害者職業総合センターで
実施され、自閉症者に対する今後の施策の前提となる実態把握にも努めているところ
です。
(職業安定課)
7 自閉症児者を対蒙とした職業支援センターの設置をされたい。また、自閉症者の就
労を援助するジョブコーチの育成をされたい。
(回 答)
障害者の職業生活における自立を促進することを目的とする「奈良障害者職業セン
ター」が設置されており、自閉症者に対しても、職業評価、職業指導、基本的な労働
習慣を体得させるための職業準備訓練、職域開発援助事業等を実施しておりますので、
御活用ください。
事業所が重度精神薄弱者及び精神障害者の雇用管理のために必要な業務遂行援助者
を配置する場合、一定の助成を行うこととしていますが(重度障害者介助等助成金)、
自閉症者はその対象に該当していないため現時点では困難があります。御要望があっ
たことを国へ伝えます。
(職業安定課)
8 重点公共職業安定所に自閉症に関する専門指導員の配置をされたい。
(回 答)
自閉症者についても、症状が安定し、就職が可能であれば、公共職業安定所におい
て職業相談、職業紹介等の対象者となりうるものであり、障害者の雇用の促進、職業
の安定のため、きめ細やかな対応に努めているところです。
専門指導員の配置については、御要望のあったことを国へ伝えます。
(職業安定課)
9 自閉症者雇用企業への助成金制度の適応をされたい。
(回 答)
自閉症者は、現在のところ助成金の対象となっていないため、現時点では困難があ
ります。御要望があったことを国へ伝えます。
(職業安定課)
10 全国のほとんどの都道府県は、自閉症協会の支部活動に助成金などをだしておられ
ますが、奈良県でも実施されたい。そのための手続の方法・時期等を示されたい。
(回 答)
助成を行うためには、会としての活動実績が必要であり、また、その活動が県の福
祉施策の推進に寄与できるものであるかどうかにもよります。
(障害福祉課)
11我々の会の活動の趣旨を理解し日本自閉症協会の活動と連携されたい。そのために
話合いの機会を定期的に持っていただきたい。また、その際の窓口となる部署を示さ
れたい。
(回 答)
いずれにしても、活動実績が必要であり、その上で判断されるべきものです。した
がって、窓口となる部署を現状では示すべき段階ではないと思われます。強いてあげ
るとすれば、福祉部障害福祉課になろうかと思われます。
(障害福祉課)
(要望書原本)
平成