手段を獲得する 規則的な生活
対人関係がもてない ⇒ その子なりの対人関係の改善 ⇒ 律儀な仕事ぶり
興味が狭く偏っていいる 文字・数字等の興味の広がり 得意な趣味での楽しみ
4.自閉症圏の子どもをどう理解するか
(1)知的発達のレベルは子どもによって違う
・重度の遅滞から正常領域まで
(2)発達がアンバランス
@粗大な運動発達は佳良 例:勝手に飛び回ったり、高いところに登ったり
A統合的な理解力は非常に若手 例:ストーリー、全体の意味、常識、状況の理解
B機械的な記憶能力は得意 例:数字、文字、マーク、標識、機械の操作等
(3)外界の変化に弱い
・場所・人・手順などが変化すると不安定になり、しばしばパニックになる
(4)感覚の異常をもつことがある
・聴覚・味覚・痛覚など:ある種の音や声に耳ふさぎや拒否的な態度、 極端な偏食
大けがしても痛がらない、些細なけがでパニックになる
5.異常行動の訴えは年齢によって変化する
(1)全年齢に亘る問題:対人関係がうまくできない、くせやきまりが強い.
(2)低年齢で問題になる行動:睡眠障害、多動、極端な偏食
(3)思春期・青年期の問題行動
自閉症に伴いやすい問題行動の増強および精神医学的問題の出現
例:パニック・興奮、こだわり、他傷行為、器物破損、独語・奇声
登校拒否、強迫様症状、動きの純さ、頻尿・排泄問題、常同運動等
(4)高年齢で問題になる行動:動きの乏しさ、自発性の欠如
6.年齢に伴ってできることや適応的な行動が増える
一数字は自閉症協会における療育相談の基確票より一
(1)身辺処理:学童期のうちにほとんどの人が自立する
(2)言葉の理解:青年期までには言葉だけでも約60%の人が理解できるようになる
(3)話し言葉:青年期になると70%の人が2語文以上の言葉を持つようになる
(4)読み書き:青年期までに60%の人が簡単な文章が読めるようになる
(5)会話:青年期になると家族との話しが通じる人は60%弱、家族以外では27%となる
7.ステップを踏んで療育の目標を立てる
(1)対人関係
ステップ1:親との愛着関係をじっくり育てる
ステップ2:家族や療育担当者などとの安定した関係をつくる
ステップ3:兄弟や身近な子どもと一緒にいることを楽しむ
ステップ4:大人の介助のもとに子ども同士のやり取りができる
(2)生活習慣 ステップ1:日常生活の安定したリズムをつくる
ステップ2:個々の生活習慣の技能を身につける
ステップ3:言葉かけで一連の身辺のことができる
ステップ4:身辺のことが自発的にできる
(3)言葉と適応行動
ステップ1:日常の流れにそった場面での声かけが分かる。
ステップ2:声かけで日常生活での適応行動がとれる
ステップ3:言葉かけにより行動を調節できる
ステップ4:事前の言葉かけで予定を理解し行動を調節できる
(4)認知
ステップ1:興味のある物から物に名前があることに気づかせる
ステップ2:単語の理解を確実にする
ステップ3:単語、動作語、数、仲間あつめなどの理解を広げる
絵本などで簡単な場面の展開(原因と結果)を楽しめるようにする
ステップ4:大小・数観念、空間関係などの概念形成を促す
絵本などで簡単なストーリーを楽しめるようにする
8.療育の良い条件を整える
(1)発達水準とその特徴を知る
発達の段階 → 適切な目標 → 理解力の向上 → 好ましい
適応行動の獲得 行動の変化
(2)対処の仕方と子どもの異常行動
療育者:不適切な関わり方 → 禁止や制止の増加 → 危機的状態
子:異常行動の増加 → 異常行動の増悪
(3)子どもの行動への対処法を学ぶ
@高すぎる目標や課題はストレスを生む
→ 適切な目標・課題の選択が大切(参考:療育のステップ等)
Aオウム返しは理解できていないサイン
→ 具体的な提示に変える
B突然の変更はパニックを起こさせる
→ 事前の声かけにより見通しを持たせる
C禁止や叱責を少なくして誉めたり受け入れたりする
→ できる事を増やす、杏定語よりは何をしたらよいかを教える
D親(療育者)の気持ちや情緒が子どもに伝わる
(4)親子の距離の取り方を考慮する 年齢に伴って徐々に自立的の方向へ→ 思春期:質的転換点
9.家族の再横築に向けて
(1)父、母(夫婦)のきずなを強くする
父親と母親が補い合ってそれぞれの役割を果たす
(2)兄弟柿妹は良き理解者となるように
他の子ども(兄弟柿妹)の気持ちや要求には十分に耳を傾ける
(3)家族員それぞれがいきいきと生活する
過度な犠牲的精神はかえってマイナスになる
10.社会との連携を大切に
(1)社会から孤立せず社会の中で生きる
(2)友人、親の会、地域との交流
(3)正しい情報の選択
(4)社会への働きかけ(家族援助システム、治療と研究の推進等)