弘済学園 三島卓穂
1行動障害とは何だろう
現象として 攻撃、自傷、物壊し、飛び出し、不眠、
周りから見てどうなのか−とても困る行動
本人の内面にとってどうなのか一1次的、2次的
2行動障害の例
重度精神遅滞を伴う自閉症の男子。オウムがえしが多く1語発話。小学校4年から学校
でパニックをみせ問題行動が急に増える。11歳で入園食欲は強いが食堂をいやがっ
たり強迫的に食事を払い落とす。多動で突然廊下を走り他の子を叩く。洗面時にはコ
ップや椅子を放る。気分の起伏が激しい。長期的には状態の波があり次第に調子が落
ちて自傷、頭突きなどが頻発する。ベッドにいきたいと要求しトイレにこもりもする。
夜間に断眠が多く朝は眠気が強く起きにくい。担任が変ると不安定になり頭突きをす
る。チックのようなまばたきや蹴りが多い。
3どうしてそうなるの
3.1 本人の持っている傾向と反応に合わせた援助
気の短い人に、当てもなく待たせるとどうなるか?気の長い人に、当てもなく待たせ
るとどうなるか?アルコールの飲めない人には酒が大変な苦痛でありますが好きな人
にはたまらない。どんな援助が良いか、それは本人の特徴に合せた援助をしていくこ
とです。
3.2 主要な発達障害とそこにみられる特質、傾向との関係
知的障害:最重度 重度 中度 軽度−わからない、
自閉症:社会性障害 コミュニケーション障害 常同反復行動(同一性保持)
注意欠陥多動障害:物事を最後まで遂行できない、じっとしていられない
その他行動障害の背景にあるもの
強迫性障害:本人には不合理性がわかっていて苦痛だが、なおやらずにはいられない
3.3 個々の人の特性を知る
大きな見方は障害特徴として知れても,一人一人に違う特性がある.その特性をいや
がる事を通じて知る.(服脱ぎ一雨の話−)
3.4 複合的な性格を知る
単一の原因ではなくて複合的に形成されているということ.自傷も、社会的道具とし
て学習した・感覚的な刺激を求めては,両立する.
4どうしたら良いのか一初級編※
4.1 有効とされるアプローチ−療育援助環境の整備
構造化された環境の準備
安定した小集団・個別対応の準備
生活リズムのある生活
楽しいプログラムで一日を組み立て
医療との連携を的確にする
有効とされたアプローチーリラックスできる環境
強刺激を避け静穏な環境を準備
肉体精神の疲労に配慮する
食器を固定し全部食べる満足
散歩などで気持をきりかえる
だっこなどで安心感を与える
様々な刺激に緊張していることを理解
禁止や強い指示はせず許容対応をする
発話のある人では言語ゲ←ムを楽しむ
キイバーソンの存在一許容的でありつつ自己を上手にコントロールしてくれる人
4・2 有効とされたアプローチーコミュニケーション
視覚的に生活展開を理解できる伝達
言語理解力に配慮した対応
押し問答にはまらない
事前に連絡し行動の見通しをつける
自分の要求を表現する技能獲得
複数の指示・課題提示をしない
4.3 有効とされたアプローチ−セルフコントロールする力
待つ習慣の形成、身辺処理技能の獲得、対応方法を統一する
長期的な視点で指導的なものは安定してからすこしづつ求める
4.4 まとめると
※第1回分施設に於いての支援
奈良県における強度行動障害の問題を考える会11月20日資料 作成者:三島
5どうしたら良いのか一中級編※
5.1 要因:コミュニケーション障害
行動を決められる、うまく理解できない焦燥
5.2 要因:心の理論の障害
マインドーブラインドネス、人に心理状態があることの理解ができない、伝える前提
である相手の気持ちを読めない。
被害意識を持ちやすい、関われず疎外感をもつ
5.3 要因:同一性保持
心理的負担を感じても表現されない、問題行動を再現しないと納得しない
5.4 要因:主張や要求の混乱
要求がころころと変る、アンビバレントな要求、
自閉性障害での実行障害(前頭性障害)の関与の可能性、
5.5 要因:抑制の困難
行動に移る閾値が低く、わずかな刺激が行動を実行に移させる
良くないことを解っていても抑制困難、場面接近が強いストレスとなる
ある程度発達し事象の展開がわかってくる人には特に強いプレッシャーとなる
5.6 要因:易疲労性
知覚過敏や知覚混乱(ウイリアムズ)普通の人では負担に感じないような音や色や触覚が本
人には耐え難い
自律神経失調様の不調感がある 嘔吐感、微熱、下痢、遺尿
5.7 要因:社会性の発達の遅れ
人と出会って甘えたくても上手に甘えられない
愛着が乏しく集団参加を好まず社会的行動になじまない
5.8 要因:相対的な社会性の発達
人への愛着が強くなると関わりたいがうまく関われない葛藤と不安
周囲は配慮をしなくなる一わかっているのに!
5.9 要因:遅延パニック
自閉症では過去の記憶と今の事象とを混同することがある。あたかも今起こっている
かのように受け止め外見からは理解できない行動をとる
5.10要因:マターナル・リファレンス
乳幼児でみられる認識形態一周りの人の表情が不安だと本人も不安な認識を持つ、心
の理論(他者理解)の未確立な自閉症でも類似の現象がみられる。行動障害の強い場
合、関わるものの緊張(かまえ)が伝染し、双方で警戒感が増幅
5.11要因:そううつ様の状態の変動
特に理由がないのに状態が低下するなど、状態の変動が自然に出現してくる。
多動でじっとしていられない時期。すぐに攻撃的になる、表情が明るい等
動きが少ない時期。こもりやすい、自傷が増える、不快な声が増す等
5.12要因:自閉症にトウレット障害が合併した場合
抑制系の障害 思ったことがすぐに行動に出る、しばらくは我慢できるがやらずには
いられない、じっとしていられない、睡眠が浅くなってしまうストレスに非常に弱い
5.13要因:誤解した対応の例
一度で済む攻撃に恐いのでしつこい罰対応
決めきれない苦手さを割りきらせる 本当は‥‥したかった
食堂で逃げる 食べたくないのでないすごく食べたいがストレスを低減
具体的なきっかけがないのに攻撃−なんで、私が、どうして−チック、過去の不安、
自己不全感のストレス、過去の経験蓄積=白紙でない、てんかん、八つ当たり、同一
性保持で表面に出ないもの、等々
どこに行くか分からずに引き止める一強迫性から
6事例はどう解釈されるか
学校でパニック(同一性保持、心の理論、騒がしさ、コミュニケーション等々)
食欲は強いが食堂拒否 (抑制できない自分を防衛)
強迫的に食事を払い落とす (不安感によって強迫性が強まる)
多動で突然廊下を走り他の子を叩く(八つ当り、遅延パニック)
洗面時にはコップや椅子を放る (知覚過敏)
ああいえばこう言う (セントラルコヘランス)
気分の起伏が激しい (様々なストレス、脳機能の状態)
状態の波で自傷、頭突き (そううつ様状態、不快感)
ベッドやトイレにこもる (うつ様状態、知覚遮断)
夜間に断眠が多い (抑制系の障害)
担任が変り頭突き (同一性保持、心の理論等々)
チックのような瞬きや蹴り
(トウレット障害との関連一抑制系の弱さが強調されて出現)
※第2回教育現場での支援
7まとめ
どんなアプローチが良いかは行動障害の背景にある要因をしっかり把握しそれに合せ
た対応をすること。その視点を提示しました。
(以上H10.11.20に示された資料)