国立療養所松頼琵 第3病棟
○又吉 弘牽 金城 毅 福西 千恵 青木 京子 廣岡 峰子
岡本 志津子 指導主任 西田 歳明 第2精神科医長 加藤 佳也
はじめに
当病棟において、頻回に詰所に激しく飛び込み、清潔物品の引き出し棚を次々と確かめ
るように開けることにこだわり、私達がその対応に苦慮している入院者(T君と略す)が
いる。行動改善の手立てとして、日課プログラムの時間的構造化と関わる中での対人関係
の深まりが有効ではないかと考え、研究に取り組んだのでここに報告する。
対象
・事例紹介:T・S 32才 男性・参断名:知的障害(重度)強度行動判定:27点
研究方法
1,飛び込み行動のパターンを観察し解析する。
2,研究開始後、4期間を設定し飛び込み回数を記録する。
3,@ 一日の日課についてのスケジュールを、絵・文字カードに表して提示する。
Aスタッフとの共同作業での作業課題(おしぼりたたみ)を盛り込む。
研究期間 平成10年6月から11月末日まで。(6月から第1期までは準備期間)
第1期:8/17〜8/21(べースライン)第2期:9/14〜9/18 第3期:
10/12〜10/17 第4期:11/22〜11/26
経過及び結果
第1期 飛び込み回数105回 第2期134回 第3期 44回 第4期 24回
考察
第1,2期の段階では、日に入るカードのその意味する内容が、何であるか、まだ十分
理解できずにいる状態であると考える。しかし、第3期よりカードを読み、それに即応し
た動きが見られたことから、カードの意味に対して理解し始めた反応であると考える。第
4期で他の問題行動が出現したが、この反応は環境の変化により混乱した心理状態に置か
れ、感情の発散として現れたと考えられる。
結論
固執の改善に向けては、自己選択自己判断できる手立ての提供と、対人関係の深まりが
大切である。構造化を考える上では、本人の特性や理解度の把握が必要であり、又、活用
していく過程で、対象にとって安心できる関係を作っていくことが重要である。