社団法人日本自閉症協会奈良県支部主催第7回自閉性障害児者の発達講座講演会
1999.11.23奈良市総合福祉センターにおけるレジメ
講義中の小寺氏
テーマ 感覚統合療法の視点で子どもをとらえなおそう
蜂ヶ岡保育園 小寺 基晴
*感覚統合とはなにか?
×いろいろな感覚情報を整理して、「すべてを−つに正しくまとめる」ことである。
移動・学習・行動が正しく行なうには、脳はすべての感覚を統合しなければならない。
×脳の栄養
刺激(栄養)がないほど苦痛なものはない。胃が悪いと消化しない。
"高い高い"をすると喜ぶ…脳がその刺激を欲している。
笑顔というのを、とても大切にしている。
動物のこどもの実験…豊富な感覚・運動刺激を与えられた動物は、そうでな
かった動物より10%脳が重かった。
×感覚入力には交通整理が必要である。
感覚情報の必要なものだけを、取り出していく。
×感覚統合は、ビラミッドのように発達する。
×適応反応
赤ん妨が、ガラガラを見るとそれに手を延ばす。…目的指向反応
あそびは、感覚統合を生み出す適応反応から成り立っている。
*感覚について
感覚には、触覚・固有感覚・前庭感覚・視覚・聴覚・味覚・臭覚がありますが
感覚統合では、より初期に発達する触覚・固有感覚・前庭感覚いわゆる体性感
覚系に焦点を当てている。
感覚…脳幹レベル 意識下活動
知覚…間悩レベル
認識…皮質レベル 意識的活動
*感覚統合の過程
1重力の安定
重力に対する抵抗…抗重力筋
首の座り−−腹這い一四つ這い−つかまり立ち一歩く
原始反射…モロー反射
非対称性緊張性頸反射
緊張性頸反射など
2身体認知・身体図式…自動車知覚
3身体の両側の協調・正中線交叉…原始反射の統合が重要
4運動企画
観念化 ― 企画・順序だて ― 遂行 − フィードバック ― 適応反応 ― フィードフォワード
(やろう) (こうやってみよう) (するぞ) (失敗した) (うまくいった) (上手にできる)
5活動レベル・注意集中
網様体賦活系で、感覚刺激の調整を行っている。
6視覚認知 周辺視野・焦点的視野
図地判別・日と手の協応 目―首―体斡の安定
7発話・言語
発達的には、言語の前の聴覚・音声系が確立されている必要がある。
8目と手の供応性と目的的活動
9脳の左右の分化 ラテラリリーの確立
半球間統合が不十分であると、左右の分業が起こらず両半球を同じように使
うようになり、利き手の確立・教科学習力・抽象的思考力に問題がおこる。
*触覚と感覚統合
×乳幼児の発達における触覚経験の役割
母子関係…認知的発達を促す・情緒的発達・コミュニケーションの発達
ハーローによるの猿による実験…タオルで作った親猿と針金で作った親猿
触覚経験を与えないで育てたの猿は、攻撃的で乱暴な行動、集印に入って
いけない
×口腔周辺の触覚…識別や探索活動
×触覚の弁別
触覚には、粗大な触覚と弁別な触覚と神経経路が違う。
手・指・ロ領域からの感覚は、特異てきなものであり、感覚皮質に到達する。
固有感覚は、身体知覚と運動企画の助けとなる。
*固有感覚と感覚統合
筋肉を使う時や関節の曲げ伸ばしによって生じる感覚
体の位置や肢位に関する情報や体の運動に関する情報に関連
身体図式や運動企画の発達に大切な役割
×筋の同時収縮
前庭障害のある子どもは、同時収縮が不足している子とが多い。
頭と身体がぐらぐらしたテーブルのような感じになる。
・腕と脚の保護伸展
前庭・固有感覚が、体が倒れそうになったとき、身体に傷を付けないように
保護伸展反応を示す。
*前庭感覚と感覚統合
×日および頚筋への影響
目の前の動いている物体を追うことが困難。
日―頚―頭の安定性の欠如…測定異常性失語症(読みの学習障害)
眼振・・・回転からくる前庭刺激によって活性化された反射の眼筋収縮である。
×身体の筋肉への影響
前庭系が適度の筋緊張を生み出している…低緊張の子どもは、前庭・固有系に問題が
ある疑い。
固有感覚(筋・関節)は、前庭核及び小脳へ…感覚―連動過程に閑する情報を常に交
換している。
×姿勢および平衡反応
前庭系の最も重要な機能のいくつかは、悩幹の−部をとうして遂行される。悩幹は、
姿勢および平衡反応の多くを脳の他の部分の助けを得つつ組織する神経の中枢を含ん
でいる。
×前庭核は、固有感覚・触覚からの情報を調整するために、脊髄へインパルスを送る。
前庭系に問題の持つ子どもは、固有・触覚に障害がある。
…運動企画能力を促進するためには、固有・前庭・触感覚を与える活動が、これらの
刺激を統合する適応反応ともに必要となる。
×前庭と網様体の相互作用
網様体は、神経系の覚醒に責任を持っている。
前庭系は、この網様体賦活系の中に膨大な圭の感覚インパルスを送っている。
活動性の低い前庭系は、調整的影響力が欠如のために、多動性や注意散漫をもたらす。
×空間との関係
前庭情報は、大脳皮質の中で固有覚および視覚と共に処理され、私たちが空間の中で
どこにいるか教えてくれる。
×情緒的発達と行動への影響
大悩辺縁系は、大脳半球で情緒に基づく行動を調節している部分である。
重力の保証は、人間関係を作り上げる基礎である。
重力との関係を発達させるために多くの時間を費やす。
重力不安…前庭処理の「間違い」からくる。過剰な前庭反応
*問題行動をどのようにとらえるか
×一般に多動といわれるこども
本来、こどもは動き回るものである…トーニックな動き・フエージックな動き
注意の転導性…物の動き・光・音に対する過剰な反応
興味があちこちに飛ぶ…他のものが、気になって仕方がない。
発達レベルにあったものであるか…課題が高すぎる・低すぎる
生活に見通しが持てない…何をしていいか分からない
触覚防衛反応…集団の中に入っているのが絶えられない
聴覚の閾値が低い…子どものざわざわした声が絶えられない
高い所に上りたがる…他児から何をされるが分からないので常に全体を見渡せる
場所を求める
社会性の育ち…干渉からの拒絶
/どのようにしていけばよいか
発達的要求である固有感覚・前庭感覚刺激のあるあそびを多く持つ
網様体賦活系の抑制…壊れたラジオのボリューム
触覚刺激…識別系の感覚から入っていく
声を掛けて関わりを持っていく
聴覚的図地判別を高める…雑音があっても、聞き取りたい音だけを拾う
学習課題やあそびを考えなおす…発達の最接近領域の課題がよい
平行あそびから入っていく…共感―受入れ
今は何をするか明確にする
集中しやすい環境作り…課題以外のものはできる限り置かない
視線を合わせるには、ブランコにのりながら、物を投げるなど、物をしっかり
とらえなければできない課題をする。そこに人がいれば、視線が合いやすくなる。
×パニックになりやすい
生活や物に、こだわりがある
善悪の価値判断がついていない…回りの関わり方の問題
発達的要求や思いが満たされていない
他児との関わりの問題…関わり方が分からない・干渉されたくない
思いが柏手に伝わらない
/興奮を抑制させるには
狭くて、少し暗くて、静かな場所に移動
だっこして、背中を擦り、ゆったり揺らしながら、穏やかな声で、語り掛ける。
生活の導線をはっきりさせ、見通しが持ちやすいようにする。
日によって対応を変えたりせず、その場では、要求が満たされなくても、適切な場所
や時間で行い、本児に、どうすれば、やりたいことができるのか、見通しを持たせる。
そうする中で、「〜だけれども〜だ」というふうに、自己抑制ができてくる。
どうすれば、思いが伝わるか仕方を教え、パニックになる前に、習慣ずけていく。
×自傷行為をおこなう
人的、環境的不適応を起こしている…自我の葛藤(チック・爪噛みなど)
環境パニック…冬山登山での遭難して、寝ては行けない状態の時にする行為と同じ
それ自身を楽しんでいる…叩くという刺激を楽しむ
/対処として
耳のそばを叩いている場合、前庭感覚刺激を楽しんでいる
…トランポリンなど、前庭系の刺激を入れていく
刺激が少なすぎる・・・本児のしたいことを、早急にみつけだし、環境を整えていく
「いやだ−」という叫びが、何であるのか、自傷をおこないやすい場面の整理
×動こうとしない
重力不安がある
低緊張で、疲れやすい
/対処として
前庭一固有感覚が、問題があるので、最初はゆっくり、不安が起きないようにゆった
り前庭刺激を入れていく
アスレチックなど、本児の無理のない所からしていく
坑重力筋が育っていない
×不器用である(巧緻能力が極端に落ちる)
…ボタンがはめられなかったり、紐が結べない
身体図式―連動企画ができていない
両側協調ができない
視知覚認知に閉塞
低緊張である
原始反射の統合
/対処として
触覚刺激を全身から入れていく…身体の各部がどこにあるか認識させていく
前庭―固有感覚刺激を入れていく中で、目―首―体斡の安定 目と手の協調
両側を使うあそびを使う
運動企画を視覚で代債しながら行っていく
×ピョンピョンと飛びはねたり、ぐるぐる回ったりする。
前庭・固有刺激を求めている
環境に求める刺激がなく仕方なくしている
/トランポリンなど前庭・固有刺激を入れていく
つぎに、目的指向的なあそびを、人を介しておこなう
×極端に土、ドロ・水やべとべとしたものなどを嫌ったりする
触覚防衛反応
"きもちわるい"という感覚
「気持ち悪い。嫌だ」という拒否の感覚
「気持ち悪い。何だろう。」という識別的な反応
識別的な対応ができる中で、不安や逃避的な反応を調節することができる。
楽しいなという感覚をどのように育てるかが問題
/他のあそびから入っていって、触覚刺激を自然に受け入れ入れてしまっている
ようなプログラムを組む。
×偏食が激しい
口腔内の触覚防衛反応があり、固い物・ざらざらしたものなど抵抗がある
味覚の育ちの間尭…刺激性のきついものを求める
/感触に気を付けるメニューを考える
薄味から入っていく・物の素材を大切にしていく・見た目も大切
家族と一緒、楽しい雰囲気で…食べなさいという厳しい視線は、逆効果
栄養価を考え、パンがだめでも、御飯を食べているならよしとする。
*感覚統合と自閉症
・言葉の理解に重篤な障害…視覚刺激・聴覚刺激に対する反応が異常
…言語発達に遅れ一反響言語・文法構造が弱く抽象語を
使うのが困難
…音声による言葉だけでなく、身振りによる言語を社会的に
使う能力が障害
・視線が合わせられない
・社会的触れ合い・協同遊びを含めた社会的人間関係樹立の障害
・且常の手順に固辞・変化に強い抵抗
・奇妙なものに愛着
・常同的でパターンかされた遊び…儀式的行動
・抽象的あるいわ象徴的思考の遊びに乏しい。・
・課題の解決は、抽象能力や言語能力を必要とするよりも、暗記力や視覚空間の能力の課
題のほうが優れている
1 言語発達の遅れと異常
2 人間関係樹立の障害
3 同一性保持や儀式を思わせる行動
*感覚統合の視点
×注意をはらわない・過剰に反応する
感覚入力が脳に正確に登録されていない。
ex ベルの音や騒音などの無視、視線の回避や視運動性の眼振、空気刺激検査の無反応
why聴覚・視覚などの感覚入力の登録がなされていない。
×抑制された回転後眼振
前庭刺激の過剰抑制…重力不安をもたらす
×新奇なことに不安、目的行動や建設的な活動に興味をしめさない
「それをしたい」という好奇心の低下や欠如
why物理的環境の持つ意味や自己の道具の使用法の未登録
…身体図式や運動企画の発達の遅れ
×空間関係や空間知覚が困難
視覚以外の感覚入力の助けと統合
聴覚入力の登録の非効率性は、言語知覚の確率の制限
触覚・固有感覚・前庭感覚などの登録の非効率性は、身体知覚・運動企画の未発達の
原因になる…自我の発達重要な影響
エアーズ…発達的行為障害に類似している
*発達性行為障害
触覚、そして時には前庭覚・固有感覚の統合を妨げ運動企画能力を疎外する脳の機能障
害をいう。
×運動のタイブ
1)運動のなめらかなコントロール(ピンをつまみあげる)
2)姿勢反応(寝返り・片足立ち)
3)生得的に中枢にプログラムされた運動パターン(這い這い・歩行)
4)特殊な巧緻運動技能(紐をむすぶ・文字を書く)
5)運動企画
×身体知覚と運動企画
例 自動車知覚
触覚―身体図式―連動企画
×触覚の弁別
触覚には、粗大な触覚と弁別な触覚と神経経路が違う。
手・指・口領域からの感覚は、特異てきなものであり、感覚皮質に到達する。
固有感覚は、身体知覚と運動企画の助けとなる。
×前庭核は、固有感覚・触覚からの情報を調整するために、脊髄へインパルスを送る。
前庭系に問題の持つ子どもは、固有・触覚に障害がある。
…運動企画能力を促進するためには、固有・前庭・触感覚を与える活動が、これらの
刺激を統合する適応反応ともに必要となる。
実技指導されている小寺氏
TOP
きずなへ