無料-
出会い-
花-
キャッシング
HOME
強度行動障害について理解を深める会H11.2.20国立療養所松籟荘でのレジメ
激しい自傷を呈する入院児の
行動改善を試みて
国立療養所松籟荘 平成10年度・強度行動障害勉強会
第4病棟 栢原弘昌
研究目的
研究方法
対象
年齢,性別 :14歳(女)
病名 :精神発達遅滞 本態怯高ナトリウム血症
入院日,主訴 :平成6年8月22日,白傷、他事が強く家庭拳育困難
服用中の薬物 :精神安定剤
就学 :養護学校中学部3年在籍
強度行動障害の評定:30点(10点以上…強度行動障害,20点以上…特別処遇事業対象)
研究期間
経過および結果
〜食事場面の様子から〜
1期:・当初は、車いすの抑制具をはずしたら食器をひっくりかえし、次に必ず自傷に
至るという状態であった。
・私たち職員もその状態を固定的にとらえ、両手を抑制したままで、全面的な介
助をおこなっていた。
・デイルームで食事の時間を待つ間、次の日課が理解できるよう七、食事の写真
を首にかけ、提示し続けた。
・彼女が他児(者)に気をとられることなく、食事に集中できる場所の設定をお
こなった。
・7月に入って特定の職員と1対1でかかわり、両手の抑制具をはずしてスプー
ンを持って食べることができ始めてきた。
・当初よりスプーンは、普通の物を使用した。
・食事の「おわり」を知らせた。
2期:・8月中旬、スプーンで食べ物がすくいやすいように、配膳されてくる食器を彼
女専用の食器にかえ、また食器を固定するために専用のテーブルを作製した。
・自分で食べ物をすくって食べようとする、能動的な姿勢が芽生えてきた。また
これと平行して、自傷を自己制御できるようになってきた。
3〜5期
・正しくスプーンを持つことができ、その上から職員が軽く手を握るだけで、食
べ物をすくえるようになった。
・左手で食器を持つこともできてきている。
・「生活場面における自傷生起率集計表」から、1対1の個別のかかわりと毎日
の繰り返しの指導という職員間の統一した指導方針の必要性が問われている。
研究期間後の様子
考察
1.自傷=不安な気持ちの表現,自傷することでその不安をうち消そうとしている。
不安の逃げ場になっていた。
不安なときにその人を求め、自傷を乗り越える力が生まれたとき、本当の意味で「安
心できる人間関係」がつくれたと言える⇒人間関係を量的に拡大していくことを課
題としている。
2.デイルーム=トランジッションエリア(transition area)
写真 =スケジュールカード
3.写真がスケジュールカードになり、補助言語としてコミュニケーションの手段となる
ためには
4.抑制具の付いた本児専用の車いす=カームダウンエリア(calm down area・安定室)
5.スプーン=手の延長としての道具⇒食べることの制約からの自由の獲得
スプーンがうまく使いこなせるようになりたいという本児の願い⇒少しむずかしいレ
ベルの願い(発達の最近接領域の課題)となっている。
まとめ
「なぜ」を問い続ける苦闘なしには、問題行動を呈している人の内面に近づくことはで
きない。
そして、「なぜ」に対して仮説を持ち得ることなしには、問題行動の解決の糸口は見え
てこないし、統一した指導などありえない。私たちの人間の見る日の確かさが問われてい
る。
Home
[PR]動画