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『自閉症児・者その理解と対応』
日本自閉症協会奈良支部設立準備講演会 1998.2.22
社会福祉法人大阪府衛生会附属診療所 石 神 亙
1自閉症の特徴的な症状
◎社会的な相互交渉の質的障害 ◎コミュニケイション機能の質的な障害
◎活動と興味の範囲の著しい限局 ◎以上の症状が概ね3歳頃までに起こってくる
2.問題行動とその状況性は親や治療者、教師などの観察者も含めて考えるべきである;
3.自閉症に特有な問題行動は、かれらの認知障害を理解することで分かりやすくなる:
(相手の気が知れなくて困惑しているのは「自閉症児」の方)
☆状況や意味を統合的に把握しにくい
☆独特の体験や表現のありかた
☆時間体験の異常(@時間でなく時刻で!Aタイムスリップ現象)
☆自己他者の分化が不十分(@クレーン現象、A身近な人は自分と思いも同じ)
4.対応の例とそこから得られた教訓;
「特急は停まらない」ないでしょう」
真冬に布団で寝なかった女の子
式次第を提示され、安定する etc.
5.自閉症と薬物療法;
小児の(精神科)薬物療法の一般的な考え方
・標的症状 ・休薬期間 ・副作用の検査
行動障害に対して用いられる薬物
・ハロペリドール(セレネース、ハロステン)・ピモジド(オーラップ)など
てんかん発作に対する薬物療法
・CBZ」(テグレトール)・DPH(アレビアチン、ヒダントール)・PB
・VPA(デパゲン、ハイセレニン)
周期性気分変動に対する薬物
・炭酸リチウム(リーマス)・CBZ
原因論的効果をめざした薬物のその後
・R―THBP
その他
・ホパンテン酸カルシウム(ホパテ)・ペントキシフィリン(トレンタール)
6.しかし最も大切なことは、障害があっても”人間まるごと受け容れてもらえる”こ
とである
自閉症児者の理解と対応
医師 石神 亙様
・医大を35年に卒業して中宮病院に勤めた。その当時大阪の枚方市の先生方が、学校
の障害児について相談している場に出席させてもらい、その中で私自身が育ててもらっ
た。相談票に記入してもらって対応しているうちに、だんだんと問題行動が無くなって
きた そういう場所に参加していると、診案室で経験できな面を見ることができた。診
療室から出ていかなければ、本当の子どもは見られない。
○中宮病院の精神科から国立病院の小児科へかわった。精神科も一緒に診ていた。
今は、養護を要する施設にいる。平成5年に、子どもが50名人れる施設をっくった。
オープンな診療所なので、必要があれば相談に応じます。最近は、自閉捉の相談が圧倒
的に多くなった。
○自閉症について
@社会的総合的な対応の障害。対人関係が取れない特徴がある。
Aコミュニケーションの機能の障害。言葉を持っていても、人とのコミュニケーション
に使えない。非言語的なジェスチャーなど、理解することが困難なことが多い。
B色々な知識があるのだが、実際には使えない。3才頃までに、自閉症が出てくるのが
特徴である。何かのきっかけで言葉が消えてしまったりする。
○問題行動について
多くの人は、これがきっかけで相談に来ることが多い。問題行動の発生は、親や教師、
療育者との関係で起こってくることが多い。問題行動は、自分(親)の行動、対応を子
どもに観察されていて、その結果子どもが問題行動を起こす。親や教師の対応の反映な
のである。問題行動を起こす場合、相手の気が知れなくて、恐れているのは自閉症児の
方である。向こうは、こちらの事を理解できないので、相手を怒らせたりして反応を見
て安心する。または、恨みを持ってそれ以上に問題行動をするようになる。
例えば、人の首をしめた子がいるが、相手にからかわれたのだか、その人に仕返しをす
るのではなく 別の自分より年下の弱い小学生の子の首をしめてしまった。その時に、
叱られた言葉「首をしめたら、殺人と同じや」の言葉を本人は繰り返していたが、なか
なか本人には言われたことが理坪できなかった。そこで、「全然関係のない人に仕返し
をすることは悪い事なのだ」と言ってやると、4日後には自分で反省することが出来た。
○自閉症の特質を理解した上で、療育に取り組んではしい。
・自閉症の人には、体罰をする事では何もよくならない。本人には、体罰をされること
がどうしてなのか分かっていないので、体罰をされたという恨みしか残らない。
「彼らが世の中を、どのように認知しているのか」をこちらが理解して、対応してやる
事が大切なのである。状況や意味を、統合的に認知しにくいのが特徴である。
・ほめられているのか、叱られているのか分からないことが多いので、分かるように教
えてやる、その教える方法を大切にする。分かりにくい叱り方はやめて、迫力をもって
叱らなければ駄目である(怒るとは、感情的になって、相手の感情を無視して、自分の
意見を一方的に押しつけることを言う。叱るとは、冷静に相手の言い分もしっかりと聞
いて、相手が納得できるようにして、直してはしい事を分かりやすく、具体的に示して
やることを言う…西田注)
・文章の行間を読めない。文字を読めても、意味を捉えることが難しい。
子供の言葉を聞いていると、「叱られた言葉しか出てこない」。また、独り言を言っ
ている時は、昔の嫌だったことを思い出している事が多い。
・「あとでね」とか「もう少し待ちなさい」という言い方は駄目で、「あと何人目でし
ょう」と言うように、具体的によく分かる言い方をすること。何日、何時何分は、比較
的彼らはよく理解できる。カレンターや列車の時刻表は、すごく楽しみである。彼らの
思考は、デジタル思考(時刻が示される)であり、アナログ思考には耐えられない。
・タイムスリップ現象がある。単に思い出すのではなく、思い出すとその時の気持ちに
本当になりきってしまう。
・自分と他人との区別がなかなかつかない。クレーン現象は、自分が信頼している人は、
自分と同じ行動でないと気が済まないという背景があることから起こる現象である。
・『この子達には心があるのだ』と言うことを、きちんと抑えておく必要がある。
卒業式の練習の時に騒ぐので、式次第を渡して、今ここをやっているのだと言ってやる
と、騒がなくなった。自閉症児には、時間の経過を理解できるように取り組む必要があ
ると思う。
・親や先生の気持ちの動きを、言葉はなくてもよく分かるのである。障害があっても、
人間として丸ごと受け止める事が大切である。
・問題行動を取り除くのではなく、その問題行動をしている心を育て、世の中を理解さ
せるためなのだといづことを大切にして、問題行動の解決をはかる。
以上、会報「きずな」絆より
※先生が当日お持ちくださった。お勤め先の案内を以下に載せておきます。
社会福祉法人
大阪府衛生会附属診療所
場 所
高槻市奈佐原955(JR京都線 摂津富田駅下車)
『希望の杜』に隣接
TEL・FAX(0726)96−3351
診療内容 = 心と体の悩みの相談・診療
(小児.・思春期・青年期の悩みの相談、育児相談、発達相談、
障害児(者)の療育相談、教育上の問題についての相談など)
診療時間
月・火・水・金・《曜日 AM 9:00〜12:00
PM 1:00〜 5:00
日曜日・祝祭日および木曜日 休 診
※原則として『予約制』とさせていただきます
診療所の特徴 = 提供でさるサービス =
『今、必要とされている具体的な援助』をモットーに
◎登校渋り
◎対人関係の悩みの相談
◎発達の悩みや、落ち着きのない子の相談
◎育児についての悩みや、教育上の相談
◎自閉症や知的障害、言葉の遅れや学習障害についての相談
◎チック、夜尿、反抗、抜毛など行動上の相談
◎けいれん性の疾患… などの相談や治療
◎『希望の杜』についての相談や説明
◎『希望の杜』退所後のアフターケア
診療所長 石神 亙
《児童青年の相談医として、精神科と小児科の両科を経験、
障害児(者)の療育相談、学校の精神保健問題などを専門
領域としています。》
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