1.絵本の指導で大切にしたいこと
(1)絵本の指導を通して、子どもたちの心と言葉の発達を保障する。
@親や療育者は子どもとしっかりと遊びきり、絵本や本を親子で読み、生活体験を増
やして、人と遊んだりすることが、楽しい事なのだということを実感させる。
本を読んでもらうことで、物語の中に入って、想像の世界の中で、日常できない事
を登場人物と共に、生さ生きと行動したり考えたりして、自分も主人公になったつ
もりになる。だから、面白かったり、楽しかったりするのである。
A学校では、担任が中心になって、意図的に心を耕す事の出来る、絵本や物語を読み
聞かせをして、心を育てる。
B文字を覚えて読めるようになるのと、文章を読んで、内容が理解できるのとは別で
ある。文字に興味をもち、覚えて読めるようになった時はど、内容をより深く広く
理解させるために、大人の読み聞かせが求められる。
(2)読み聞かせで、本の好きな子に育てよう
@転換期の節目にいる子どもには、自分の将来の夢や、生さ方に影響を受ける本を与
えたいものです。将来の夢を育み、明日からも頑張るぞというエネルギーを生み出
す、本との出会いを、どの子にも経験させたいものである。
A初めから本の好きな子はいない。絵本を身近に置いておけば、好きになるという物
ではなく、読み聞かせをする事によって、だんだんと好きになる。障害を持つ子供
たちも、基本的には健常児と同じ発達の道を歩む。ただ、接し方や指導については
ょり細かい配慮と工夫(動作化や、ペープサートにしたり、絵本の色ぬり)が必要
になる。
B読み聞かせは、理解言語の段階(発達年齢の1才前後)から始めて、子どもの理解
言語を増やす。まだ十分に話せない子でも、大人の言うことをある程度理解できる
子どもには、どんどん読み聞かせをしてあげる。
C理解言語の時期の子どもは、ストーリーを楽しむのではなくて、1ページの場面を
楽しんだり、繰り返しのある本が良い。話し言葉や生活経験が豊かになると、スト
ーリーのあるものを喜ぶようになる。障害のある子では、言葉遊びや動作遊びを取
り入れてやると、内容を理解して、遊びを共有する事で指導者に心を開いてくる事
が多い。
D子どもの実態にあった本、最初は、同じ本を毎日読み聞かせをしてやると、好きな
本が出来てくる。大好きなお母さんやお父さん、先生と楽しい一時を共有すること
も、子どもにとっては大きな喜びである。
E読み手や聞き手は、登場人物や、本に登場する動物等の動作を模倣する事によって
○○しているつもり(つもり行動)が出来るようになる。障害児には、ここの所が
大切である。私の学級では、毎日絵本を読んで言葉や動作の真似をしたり色ぬりを
したりして、絵本を多面的に楽しんでいる。
F繰り返しのある、ストーリーのある、日本語のリズムのある面白い本を選ぶ(外国
の本でも訳が良いのはとても喜ぶ)事。やがて、長い文の本へと発展していく。
G文字が十分読めるようになっても、内容は十分に分からないので、読み聞かせをす
る事で、お話の面白さを知らせてやる。この時期こそ、豊かな読み聞かせを親や指
導者はする。「読めるのだから、自分で読みなさい」は本の嫌いな子になる。
H小学校中学年までは、読み聞かせも十分にする。高学年からは、子どもの精神の自
立や人生の目標に向かって歩むためにも、精神的な影響を与えてくれる伝記等を読
ませる。本の好きな子は、自分で考え努力するので、高学年になると自立心が育っ
Rマンガはおやつ、食べすぎ(読みすぎ)には注意が必要ですが、本(主食)だけだ
と食事でたりない分の栄養が必要です。与え方さえ間違えなければ、マンガも大切
な栄養素である。学習マンガなどは、子どもが自分で学習するのに役立っ事が多い
(3)読み聞かせをする上での留意点として
@本をちぎったり、パラパラめくるだけに興味を持っているように見える子も、本を
好きになる可能性を持っている。自閉性障害児の子どもなどは、バラパラとページ
めくり遊びをしながらも、自分の好きなページだけはじっと見る。
A子どもが楽しんでいるだけでなく、読み聞かせをする教師の方も、楽しみながら読
むことが大切である。絵本を手作りの紙芝居などにすると、作者の意図が良く分か
るので、一度ぜひ試していただきたい。
B子どもに読み聞かせる本は、子どもの実態に合った本であることは当然であるが、
幼児や低学年の子や障害を持つ子の場合、毎回読み聞かせの本を変えると、好きな
本が出来にくいので、内容が理解できるまで同じ本を読んでやることも必要。
(4)与えたい本を選ぶには、どうしたらよいか。
@大人が読んでも、面白い本が第一条件である。
A絵だけを見ても、大体のストーリーが良く分かる本。
B童話などは、耳から聞くのにふさわしい言葉で語られていること。日本語の持つ韻
律を大切にした、朗読しやすく、聞き手の想像力を引き出しやすいことが大切。
C長い間、ずっと読みつがれていて、何回も増刷されているものは、優れた本が多い
(何回増刷されているかを見て買うのも、選定の手掛かりになる。)
D世界各国の、その国の民族の持つユーモアや、言葉のリズムが上手に使われている
事。ウィットに富んだもの。
(5)読み方について
@平板な読み方ではなく、抑揚のある声で読むことが大切である。
A子どもの発達の認識に合わせて、子どもの顔をみながら、子どもの理解を確認しな
がら、読む速度を調節する。
B場面転換(次のページ)の場合、すらすら読んでしまうのではなく、子どもが想像
力を働かせることのできる〔間…ま〕を淑ることが大切である。間抜けにならない
こと。
C読み手も、その絵本や本を、楽しんで読み聞かせをしないと、子どもはついてこな
いし、お話に集中してこない。
2.指導をして、楽しんで取り組めた教材
(1)保育園や幼稚園、障害児学級(養護学校)の子どもたちと楽しんだ本の中の一部から
○「いたださますあそび」あかちゃんの遊び絵本シリーズ3 木村ゆういち作 偕成社
子どもたちの好さな食べ物があり、ページをめくると食べる言葉が出てきて、読み手
と聞き手が一緒になって、食べる真似をすることが出来る。動作化をして楽しむ本。
この本のシリーズは、他に「ごあいさつあそび」「いないいないばああそび」「ひと
りでうんちできるかな」「うごくにんぎょうあそび」「いいおへんじできるかな」が
現在出版されている。しかけ本で、こどもと遊びながら楽しめる本である。
○「たまごのあかちゃん」かんざわとしこ・ぶん やぎゅうげんいちろう・え 福音館
卵が描いてあって、次のページになると赤ちゃんが生まれてくる。どんな赤ちゃんが
生まれてくるのかを期待しながら、ページをめくる本である。絵が細かくなくて、し
かも、その動物特有の特徴をちゃんと描いてあるのがたのしい。色ぬりをしながら、
本を完成させていくのに適した絵本である。
○「ことばのべんきょう」又と絵 かこ さとし 福音館 4冊のシリーズ本セット
1.くまちゃんのいちにち 2.くまちゃんのいちねん 3.くまちゃんのごあいさつ
4.くまちゃんのかいもの
日常生活で、子どもが覚えて使う大切な言葉を、絵と動作で分かりやすく説明してあ
り、幼児期の子どもには、楽しい本である。
○「アンパンマンとかぜこんこん」やなせ たかし作 フレーベル館
冬の季節に、絵本をOHPにして楽しんだ。皆でアンパンマンのお面と、かぜこんこ
んのお面を作り、子どもたちはアンパンマンになり、教師はかぜこんこんの悪者にな
り、教室全部を使って劇を楽しんだ。そのあと、アンパンマンのパンを食べたりした
言語に障害のある子も、「ぱん」はしっかりと発音するようになった。
○「きょうのおべんとなんだろな」きしだ えりこ作 やまわき ゆりこ絵 福音館
この絵本も、OHPにして楽しんだ。登場する動物や昆虫の名前を覚えたり、お弁当
の絵と動物の絵とひら仮名のカードをマッチングさせたりもした。言葉が十分でない
子も、口真似をして、はじめの音は沢山出せるようになってきた。
○「なにをたべてさたの」岸田 衿子作 佼生出版
この絵本は、白ブタ君が果物を食べると、そのたびにお腹に果物の色がつさ、やがて
石鹸を食べると、シャボン玉の色になって飛んでいってしまい、終いには元の白ブタ
君に戻るというお話である。果物の名前や、形や色を指導するのには、適した絵本で
ある。また、子どもの心理として、赤いリンゴを食べたら、お腹がその色になるとい
うのは、幼児期の子には納得できる内容でもある。
○「ノンタンおよぐのだいすき」おおとも・やすおみ・さちこ作 偕成社
5月の終わりから、6月の中頃までこの絵本で楽しんだ。絵本を紙芝居にして、途中
からOHPにして、教室中を海に見立てて、泳ぐ真似をして楽しんだ。言葉の持つ語
呂の面白さを楽しんだ。自閉性障害の子も、水遊びが好きなので、喜んで参加した。
○「ノンタンほわほわほわわ」
紙芝居にして楽しんだ。登場する蜂をペープサートにして、「ぶんぶんぶんはちがと
」と歌いながら走り拘って、ガムを飲み込んで膨らんだノンタンのお腹(ふうせんを
ふくらませてある)に針を刺して空から落っこちる遊びをした。その後、風船ガムを
買ってきて遊び、ガムや風船を膨らませるようになってさた。
○「ノンタンぶらんこのせて」
平成8年度の4月に、言葉を覚える時期(1〜3才)に、祖母に育てられ、テレビで
ずっと子守をされ共通アクセントで関西弁の話せない子が入級。その子は、漢字も読
めるが、文字は全く書けず、規制されたことがないので、自分の要求や行動を規制さ
れると直ぐに凄まじいパニックを起こす。プランコが好きで、校庭のブランコを独占
し交代しないので、トラブルばかり起こしていたのが、この教材のあとは、少し辛抱
する事ができるようになり、現在では、少し乗ると交代できるようになった。
・この他に「あかんベ ノンタン」等は、あかんべえを喜ぶ時期の子どもたちに、動作
化等をしながら使うと大変に喜ぶ。
○「しりとりこあら」斉藤洋作 森田みちよ絵 岩崎書店
最近になって見つけた本で、こあらが友達を探しに旅に出るお話で、こあらの「ら」
から始まるしりとり絵本である。単純な繰り返しのストリーであるが、一つの画面
の中に5〜8種類の動物が描かれており、その中からしりとりにつながる動物を探す
のである。知らない動物も載っていて、知識を広げたりするのにも役に立つ。何より
も楽しいのは、主人公のこあらが、新しい友達を作ると、必ずいたずらをしている絵
が次に入っているので、子どもたちは嬉しそうにそれを見つけて、喜んでいた。
20ページあるのだが、ぜんぶ絵本を写して、色ぬりが出来るようにして楽しんだ。
○「わたしだけのはらペこあおむし」エリック・カール作 もりやひさし訳 偕成社
新しく売り出された本で、自由に本に色ぬりが出来る、色彩が付いていない本。
紙芝居にして、一枚一枚に集中できるようにした。青虫を作って、食べ物の絵に穴を
あけて、自分も青虫になったつもりで、食べる真似をした。最後に、ちょうちょにな
った場面では、全員でちょうちょを作って、OHPで写して遊んだ。理科の教材で、
青虫を飼育する時期にこの教材を使った。モンシロチョウ、アゲハチョウを教室で飼
育して、この教材の終わりのころに羽化を観察してから、皆で外へ放しにいった。
○「グリーンマントのピーマンマン」さくら ともこ作 中村景児絵 岩崎書店
ピーマンが嫌いな子が多くて、給食のときに全く食べられない子がいた。そこで、な
んとかピーマンに慣れさせたいと思ったことが、この教材を取り上げた最初である。
始めてみると、意外に子どもたちの気持ちにあったのか、喜んでお話を読んだ。そこ
で、障害児学級を理解してもらう一つのきっかけとして、校内での公開授業の一つと
して解り組んでみた。指人形を作って動かしたり、動作化をしたり、色ぬりをしたり
と、結構子どもたちは主人公のピーマンマンになって、ダイナミックに活動をしてい
た。1年生との交流学習のときにも、この教材を使って共に楽しんだ。
冬になって、風邪のはやる時期には、この本の続編である「ピーマンマンとかぜひき
キン」をして、楽しんだ。子どもたちは、主人公のピーマンマンになり、教師は悪役
のパイキイキンになると、子どもたちは、とても喜んでやる。
○「うんちしたのはだれよ!」ヴェルナー・ホルツヴルト文 ヴォルフ・エールブルッ
フ絵 関口裕昭訳 偕成社 読みと色塗りを中心にした学習を展開をした。
モグラが地面から顔を出したとたん、上から落ちてきたうんちが頑にのって、その犯
人を探すという話で、繰り返しの場面の展開である。最後に、ハエに犯人を教えても
らい、仕返しを果して帰っていくという内容で、子どもたちには大変に受けた。
絵本に色ぬりと、読みを入れながら、楽しく学習することが出来た。
最後のほうのしかえしに、モグラが小さいうんちをイヌの頑にして、土のなかへ帰っ
て行く場面は、意図的にモグラを描いてないので、思考力を働かせるのには、もって
こいの場面である。自閉性障害児等の想像が出来ない場合には、モグラの人形を作っ
て、絵には書いていない「うんち」をする場面の動作を入れてやると、思考力を伸ば
す指導に使える。
○「さつまのおいも」中川ひろたか文・村上康成絵 童心社
「さつまいも」ではなく「さつまのおいも」と言う題に作者の思いが込められている
サツマイモが土のなかで人間と同しように暮らしている。体を鍛えているのは何故か
が、物語の展開のなかで分かってくる仕掛けになっている。最後のページの落ちがと
ても愉快である。おなら物とかうんち物のお話は、子どもたちに受けることが多い。
言葉の少ない子や自閉性障害の子も「臭い−」の場面では、鼻をっまんで真似をして
楽しむことができた。実際に、自分たちの学級園で作ったいもを掘って、焼きいもを
して食べたら、「あっちでぶ−、こっちでぶ−」おならの真似をしてダウンの子がと
ても喜んでいた。家へ帰って、お家の人に話をしたそうである。
○「あんパンマンのサンタクロース」作・絵 やなせ たかし フレーベル館
12月の教材として相応しい。雪山で埋まってしまって、凍傷になったサンタクロー
スを助け出し、サンタクロースの代わりにプレゼントを配るあんパンマンの活躍を、
子どもたちは喜んで色塗と、あんパンマンのサンタクロースの面を作り、劇化をして
楽しんだ。町内の障害児学級の交流会で、紙芝居にして発表した。そのあと、あんパ
ンマンのカラオケを楽しみ、あんパンマンの顔のパンを皆で食べたりして、クリスマ
ス会が大変に盛り上がった。「パン」という言葉は、発音しやすいようである。
○「アンパンマンのクリスマス」作・絵 やなせ たかし フレーベル館
この教材は、前年度の12月にして面白かった「あんパンマンのサンタクロース」と
兄弟編的な物語である。子どもたちの良く知っている、パイキンマンが出てきてとい
うお定まりのパターンであるが、最初のページのせりふが作者の思いを良く表してい
る。「もしも、サンタクロースが太っていたら、えんとつにもぐりこんだり、屋根の
上を歩いたりすることがでさません。だから、本当のサンタクロースは、小さいので
す。」というせりふから物語が始まります。
○「たこやきマントマン・やさいばたけのばうけんのまき」高田ひろお作・中村泰敏絵
金の星社(このシリーズは、数冊が出版されていて、アニメになったり、5人のタコ
やきマントマンの玩具の人形も売られている)
野菜をいじめているモグラを、5人のたこやさマントマンが力を合わせてやっつけて
次の冒険に旅立っていくというストーリーで、子どもたちには、わりと面白いようで
ある。読んだあとに、登場人物やモグラや野菜などに色ぬりをして楽しませた。
○「ゆうたのおかあさん」きたやまようこ作 あかね書房 ゆうたくんちのいばりいぬ
シリーズ6。すこし年齢の上の子や、大人でも楽しめる内容の本で、ユーモアに富ん
だ本である。日常、気がつかないでいる面を、新鮮な目で気づかせてくれる本。
○「ネッシーぼうや」うちだ・りさこ作 ボフダン・ブテンコ絵 福音館書店
湖底に住むネッシー坊やが、一人で地上に出てきて、子どもや動物と仲良くなって遊
ぶ話である。湖底から見ると、水の上の空に住んでいる人や動物に会うのが不思議な
冒険になるという、立場の違いの面白さが感じられる本である。
○「ふゆのあさ」村上康成作 絵 ひかりのくに
冬の朝、起さると雪が積もっていた。いつもはなかなか起さない子どもが、この日ば
かりはさっと起きて、外に飛び出していく。何時もとは違う世界が待っている。そん
想像の世界を、子どもの視点から描いてくれている。冬になったら、是非とも子ども
達と一緒に、この本を読んでみたい。そんな思いの溢れる一冊である。
(2)幼稚園の大さい組から、小学校低学年に読ませたい本(自分でも読める時期の子)
○「llぴきのねこ」馬場のぼる作 こぐま社
11ぴきのねこシリーズの最初の本であるが、シリーズの中でもっとも面白い。
お腹のすいたのらねこ11ぴきが、おじいさんねこに教えられて、怪物みたいな魚を
捕まえに行き、ついに捕まえてよだれをたらしながら、我慢をして筏で引いて帰る途
中夜になり、次の朝になると魚は骨だけになっているというストーリーである。
引いて帰る画面→夜になる→夜が明けると魚は骨だけ→みんなみんなたぬきのおなか
という画面展開が実に見事である。特に、食べている画面がないので、子どもたちの
想像力を十二分に働かせることが出来る、実に優れた本である。この場面に注目して
自閉性障害児などには、この教材を使った指導で、統合機能の発達を促す一つのチャ
ンスにする事が出来る。
一昨年に、11ぴさのねこシリーズの本が新しく、1冊出版された。
○「はじめてのおつかい」筒井頼子作 林 明子絵 こどものとも傑作集 福音館書店
小学校1〜2年生の好きな本で、図書室での貸出のベスト1である。初めてのお使い
という、子どもにとっては大冒険を、自分も主人公になったつもりで、はらはらドキ
ドキしながら子どもたちは読んでいる。お母さんに頼まれた、赤ちゃんのための牛乳
を、苦労の未に、しっかり握って暖かくなったお金で、牛乳を買って帰るまでの子ど
もの心のゆれを、実に旨く表現しており、それが子どもたちの共感を呼ぶのである。
作者が、絵本の中で遊んでいるのを見つけるのも、一つの楽しみである。オウムが籠
から逃げて、電線にとまっているとか、掲示板の「ネコ探しています」のポスターの
ネコが塀の上を歩いていたり、落とした百円玉を見つけさせたり、お店で、とこちゃ
んの大きな声で、お店のおばさんがびっくりした手をさちんと書いていたり、絵本は
やはり絵をしっかりと見ることで面白さを、子どもたちと見つけられる本である。
○「とこちゃんはどこ」松岡享子作 加古里子え こどものとも傑作集 福音館書店
とこちゃんは、大変元気な子で、ちょっと目をはなすと、すぐにとことこかけだして
どこかへいってしまう子です。この本は、日本語の持つリズムをうまく取り入れた、
優れた本である。人込みのなかから、赤い帽子をかぶったとこちゃんを探すのが、子
どもたちにとっては大変面白い。何べん読んでもらっても、飽きない本である。
これと同じような形式の本は、沢山出ているが、私が見て面白かった同じような本は
「11ぴきのねこマラソン大会」は、11ぴさのねこシリーズの本を全部読んでいる
と、面白さが倍増する本である。「ウォーリーを探せ」もこの系列に入る。
○「にんしんばたけのパピプペポ」かこ さとし作 絵 偕成社
かこさとし作の絵本は沢山あるが、この本はかなり物語の文が長いはうであり、長い
文が読めるようになった子どもについて、興味が持続できるようになっている本であ
る。人参の嫌いな子が多いが、この本の内容は、人参が好きになるような内容である
また、登場するぶたの子どもの名前からして、大変面白い名前が付いていて、その名
前を音読するだけでも、この本が気に入るようである。一度ぜひ読んではしい本であ
る。
○「わにさんどきっ はいしゃさんどきっ」五味太郎 偕成社
わにさんが嫌々ながら、歯医者さんへ虫歯を治しに行きました。歯医者さんは、こわ
ごわ、わにさんの歯の治療を始めました。全く同じ言葉なのだが、二人の立場の違い
によって、それぞれがおっかなびっくりしながら歯の治療が進んでいくという、とて
もユーモラスな内容である。また、虫歯の治療の話や、虫歯予防デー等にも使える。
すこし、冗談などがわかる子になってくると、とても喜ぶ。
○「いま なんじ」やました はるお作 むらかみ つとむ絵 あかね書房
幼稚園や、小学校の時計のよみかたを勉強するとさの導入に使うと面白い。
(3)その他として、絵本ではないが、詩の本で言葉で遊べる楽しい本を紹介しておく。
○「しゃべる詩あそぶ詩きこえる詩」はせみつこ編 飯野和好絵 富山房
1〜2年生ぐらいが対象で、日本語の持つリズムや韻律を大切にした詩、日本人独特
のしゃれの入った詩等、楽しみながら学ぶことができる。編者は、NHKの教育テレ
ビの1年生の国語「あいうえお」に出てさていた「オコソトノ女王」やくをしていた
○続編として「みえる詩あそぶ詩さこえる詩」が出版されていて、結構おもしろい。
絵本とは別にして、物語のストーリーがまだなかなか理解できなかったり、面白さが
伝わらない子にも、短い文や詩を学習することで、言葉のもつ面白さを子どもたちに
っかませるのには、非常に有効な本である。大人が読んでも、ついニヤリとしてしま
う面白さを持っている。
★ また、新しい絵本で楽しいものを見つけたら、実践をしてから追加をしていきたい。